イカ釣りが他の魚釣りとちょっと違うのは、普通の釣り、一般的な釣り、餌と針を一緒に食い込ませて針掛かりさせる釣り方ではないことだ。
イカは、あの大きな目で自分の食べ物らしきものを見つけると、10本ある足のうち、特に長い2本の足の先で、それが食えるかどうか判断する。食えるとわかると、10本の足でその餌に抱きつき、足の付け根に付いている口で、かじっていく。これがイカが餌の食べる時の様子だそうだ。
このようにしてイカが補食している時に、えさの下に付いている掛け針に引っかけて釣るのが、イカ釣りの方法だ。引っ掛けて釣るという点では、鮎の友釣りにちょっと似ているところがある。
イカ釣りはこんな釣り方なので、友釣りと同じように針先の鋭さが、釣果に影響する。
イカの針は、一度釣りに行って、そのままにしておくと錆びる。錆びた針は極端に掛かりが悪くなる。そこで使用した針は、油砥石で研いで、真水で洗い、ドライヤーで乾かし、食用油を塗っておくと少しは長持ちするが、とても面倒だ。それに、そうしても針先は鈍っていく。
毎回、高価な針を買うのもちょっと、しゃくにさわるので、掛け針を自作してみた。
●準備するもの
(1)のW針は、ヤリイカの針用として、約32本800円くらいで売っている。色々サイズがあるが、1段の掛け針を作る時は「スーパー魁 ヤリイカW・11号」という大きさが適している。4本で1つの掛け針を作ることが出来る。
(2)は、熱収縮チューブとかいう名前で、いろいろな太さのものが釣具店に売っている。熱を加えると収縮する。今回は2ミリのものを使う。
(3)は、ステンレスの針金。これも釣具店に売っている。0.8ミリくらいの太さが、細工もしやすくて適当だ。
(4)は、瞬間接着剤。
(5)は、A液とB液を混ぜて使うエポキシ系接着剤。最後に、針先以外の部分に塗っておくと錆びにくくなる。このとき、決して針先には付けないようにしよう。このほか、ラジオペンチ、ドライヤーがいる。
●イカ掛け針の作り方
まず、用意した直径2ミリの熱収縮チューブを1pくらいの長さに切る。
チューブの色は透明か黒がいいような気がするが、多分なんでもいいと思う。
右の写真のように、4本のダブル針を均等にチューブに差し込んでいく。
写真のようになかなか均等に並ばないが、キッチリしなくてもあとで調整できる。
次に、ステンレスの針金の先端を左写真のように曲げる。
すっぽ抜けを防ぐ意味で重要である。
2連3連と針を連結するときのために、丸くしておくとなおよいかも知れない。
上のステンレスの針金をチューブの真ん中に差し込んで、位置を調整する。
ドライヤーの熱で、チューブを収縮させる。そしてもう一度、針の位置を調整する。
針が均等に並んだら、チューブの中に瞬間接着剤を一滴垂らす。
乾いたら、用途に応じて、ステンレスの針金を適当な長さに切断する。
チューブの廻りをエポキシ接着剤でコーティングする。このとき、つまようじの先にエポキシ接着剤を少し付けて、慎重に作業する。決して針の先端に接着剤を付けないようにしよう。
これで、針の部分は完成である。
左の写真は、この針を使って作ったものである。
左の2つは、チカに差し込んで使う、いわゆるブランコ仕掛け。
次の2つはテーラーの針先が鈍ったものを、針の部分を取り替えたものである。
右端のものは、餌を巻き付ける部分を、割り箸3本を削って作ったものである。
〈付録〉
大きめのカミツブシを、左の写真のように付けると、仕掛けを投げた時、針の部分が下になって沈んでいくので、絡みがかなり減るような気がしている。
針の下にオモリを付けてもよい。その方がよりいいかも知れない。
要するに、針が先に沈んでいけばテグスにからまないということだ。
イカ釣りは針がからみやすいので、重要なことだ。
〈まとめ〉
ここで使った「スーパー魁」という名のバラW針、ハイカーボン含有で化学研磨処理をしてあるとパッケージに書いてあるが、鮎の掛け針に負けないくらい鋭い針先をしている。新しく買ったテーラーの針でも、取り替えたいくらいだ。
ただ、針が大きいので絡みやすい。カミツブシを針のちもとに付けることにより少なくすることは出来るが、全体のバランス、竿・浮き・糸・おもり・針のバランスが、大事なような気がしている。
この掛け針の製作費用は、1本100円ちょっとである。
針の大きさ、ステンレスの針金の太さなど変えていろいろ作ってみるのも楽しい。
(平成21年9月記)