燻 製 器
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全景
魚が釣れた時、生で食べたり、煮たり焼いたり、いろいろ食べ方がある。魚によって、おいしい調理の仕方はあるが、新鮮な魚はどんな味付けでもおいしい。
昔、子供が段ボールとスモークウッドを買ってきて、卵やチーズを燻製にしたことはあったような気はするが、魚の燻製は今まで造ったことがない。
今年、裏のサクランボの木が大きくなりすぎて枝を剪定した。その時の枝を捨てないでとっておいたので、ぜひ、燻製を作ってみたいと思っていた。
最初は、段ボールの箱を2段に重ねて簡単な燻製機を作り、炭火と桜の枝でマイワシを燻製にしたら、評判がよかった。でも、段ボールが燃えそうになったり、たいへんだったので、もう少しましな燻製機を作ろうと思った。
燻製と一口にいっても、熱燻・温燻・冷燻という言葉があるように、どのくらいの温度でいぶすかによって、味が変わってくる。高い温度で短い時間いぶすには、家庭のガスコンロとフライパンでもできるので、なるべく低い温度で長時間いぶすことの出来る燻製機を目指した。

■作り方
〈用意する主な道具〉
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タッカー
●ディスクグラインダ スチールの机に空気の通り穴をあけるのに使う。
●ドライバー ネジ止めするところがたくさんあるので、電動が便利。
●のこぎり 胴縁を切るのに替え刃式ののこぎりが便利。
●カッター 3.6ミリのベニヤ板を切るにはカッターのほうがきれいに切れる。
●タッカー ベニヤを止めるにはタッカーが便利。
〈用意する材料〉
<下部>
●スチール両袖机の片方 今回はたまたま使っていなかった机があったから使ったが、一辺40センチ位、高さ60〜70センチくらいのスチール製の物があればなんでもいい。
●一斗缶及び四角い菓子缶 熱源の炭を入れて使う。
<上部>
●胴縁(6尺)8本 かんなをかけた胴縁がホームセンターの荒材売り場にある。
●3.6ミリのベニヤ(3×6尺)1枚 もっと厚くてもいいが、実際に使ってみて細工がしやすい3.6ミリで十分。
●コンパネ 上蓋に使う。50×50センチ位あればいい。

●その他蝶番、木ねじ 前面扉を止める蝶番は長蝶番がいいが、平蝶番でもいい。木ねじは38ミリと蝶番を止める20ミリが少しあればいい。
●網 食材を吊したり、置いたりするのにバーベキュー用の網が便利。
●S字フック ステンの針金を曲げて作る。小さい魚なら1段に50匹くらいは吊すことが出来る。
火を入れる下部と、食材を入れる上部に分けて作り、合体させて使う。
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燻製機下部
1.下部
この部分にはコンロを入れて、炭を焚くのでスチール製じゃないとまずい。
なかなかいい物がないので、厚めの鉄板を曲げて作ろうかとも思っていたが、ちょうど使っていなかった机の片袖を使えば何とかなると思い利用することにした。
一番上の引き出しはディスクグラインダで半分くらいに切り、その下の仕切りは取り外した。15センチ位の足が付いていたがこれも取り外した。それから、風通しをよくするために後の部分を切り取った。みんなディスクグラインダにスチール用の切断砥石をつけての作業だ。
高さが70センチ位あって、最初はちょっと高すぎると思ったが、強火の遠火で燻製にするにはちょうどよかった。コンロを上げることは簡単にできるので、それでも調節できる。
2.コンロ
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一斗缶のコンロ
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菓子缶を上にのせた状態
炭を焚いたり、チップをいぶす部分は一斗缶を切り取って作った。一斗缶を切るのには、鉄も切れるというはさみを使った。意外と簡単に切れる。風通しがよくないと炭が燃えないので上の写真のようになった。上の部分に四角い菓子缶をのせることが出来るようにした。この菓子缶は底の部分に1センチ位の穴を数個、あけている。
下の段に炭、上にチップを置いたり、上の段に炭、その上に鉄板を置いてチップを置いたり、その時その時の状況に応じて温度やいぶす煙の量を調節できる。
3.上部(食材を入れる部分)
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扉を開けた状態
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前から
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後から
写真は2回使用した後のものなので、内部がいぶされて、黒ずんでいる。いかにも燻製器の雰囲気がただよっていていい。
外回りは、耐熱のペンキを塗ったらベストだが、今回はニスを軽く塗っておいた。そのうち耐熱塗料が手に入ったら塗っておこうと思う。
この燻製箱の寸法は、約90×40×40センチである。物置とか室内に仕舞おうと思えば可能な大きさだが、仕舞うのが面倒なら、大きさにあわせてブルーシートの袋を作っておき、上下セットしたまま、上から被せておいても大丈夫だと思う。作ってみようと思う方がいれば、この写真だけでも作ることは出来ると思うが、詳しい寸法なども一応書いておく。
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展開図
【燻製箱の詳しい作り方】(1)から順番に作業する。
(1)の部分
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胴縁→402ミリ×4本・354ミリ×4本
寸法は、下部のスチールの机の寸法に合わせる。スチールの横幅が40センチ縦は39センチにするとちょうど上にのせられるが、横幅は2ミリくらい大きめに作らないと収まらない。
上の図はキッチリの寸法を書いてあるが、間違いである。必ず2〜5ミリ大きく作る。400ミリのところを402ミリに訂正する。縦の354ミリはそのままで大丈夫だ。
この燻製箱の要になる部分なので、ネジ止めもしっかり止める。接着剤は使わないほうがいいと思う。これを基本にして他の材料を切断していく。
(2)の部分(側板)
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胴縁→900ミリ 4本、ベニヤ→900ミリ×390ミリ 2枚

ベニヤを切るのにはカッターを使ったほうがきれいに切れるが、カッターの使い方は意外とむずかしい。
最初から力をいれて切るとうまく切れない。定規にそって軽く道筋をつけてから3〜4回重ね切りすると上手に切れる。決して手を切らないように慎重に作業する。
(3)の部分(背板)
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ベニヤ→900ミリ×390ミリ 1枚
基本になる(1)の上下の枠組みに(2)の側板をネジ止めしたら、その寸法に合わせてベニヤをカッターで切る。図の寸法より2ミリ横幅が大きくなるはずである。
(4)の部分(網を乗せる台)
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胴縁→402ミリ×3、354ミリ×6
食材を吊したりする網を置く、桟である。
この部分も図に400ミリと書いてあるところは402ミリに訂正する
前面の胴縁はつけない方が材料を吊す時は使い勝手がいいのでつけない。
(5)の部分(扉)
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胴縁→750ミリ2本、357.2ミリ2本、ベニヤ→750ミリ×445.2ミリ1枚
前面につける扉である。蝶番で止めることにした。ちょうど長蝶番があったので、それを2つに切って使った。重い扉ではないので、普通の平蝶番でも差し支えない。
この部分も図の寸法は、横幅を2ミリ足して訂正する。
355.2→357.2、443.2→445.2

ここまで出来たら、後は上蓋を取り付けるだけだ。
コンパネを445.2ミリ×420ミリくらいに切って、後から蝶番で止めれば完成。

実際に使ってみて、上蓋の隙間から煙が多少出るのが少し気になったが、全く密封するのもよくないような気がする。できあがりがかなり満足できるものだったので変更するつもりはない。

燻製器はうまく出来たが、これからは食材料の下処理をどうするかによって、燻製がうまくできるかどうかが決まる。達人への道のりは遠い。

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