クォーク3.3J
注意事項
●QuarkXPressは、文字ボックスや画像ボックスに文字や画像を入れてレイアウトするソフトです。文字ボックスに入れた文字データはQuarkXPressの書類のデータになっていますが、画像はただリンクされているだけです。リンクとは、その画像がどこに(どこのフォルダのどのファイルに)あるのかの情報だけをもっていることです。が、そのリンクは、元の画像を別のフォルダに移動したりするとすぐ切れてしまいます。だから、一つの仕事をする時は、まず、新しいフォルダを作って、全部その中に保存するようにしましょう。過去のデータの画像ボックスをコピー&ペーストしたりする時に張り込んだ画像のリンク切れを起こしやすいので注意しましょう。
●出力時には、ファイルメニューの出力ファイル収集で1つのフォルダやディスクにファイルを収集できますが、張り込んだイラストレーターの埋め込み画像は収集されませんので注意が必要です。クォークの書類をイメージセッタで出力する時は、あるいは出力センターなどにクォークの書類を持ち込む時は、補助メニューの"画像使用状況..."でリンクの確認を必ずすることは大事です。
編集メニューの環境設定について
まず、環境設定をしましょう。クォークを立ち上げます。
編集メニューの中に環境設定というのがあります。これはブラ下がりを有りにするか無しにするとか、ジャスティファイの仕方をどうするか等………いろいろ決める所です。
以下、トラブルの起こりにくい環境設定を書いてみます。
●環境設定は、書類をなんにも開かないで設定すると、その設定はデフォルトとなり以後クォークはその設定で立ち上がります。書類を開いて環境設定すると、その設定はその書類独自のものとなります。自分のクォークは自分の使い勝手の良いクォークにしておきましょう。
●編集メニューの環境設定アプリケーション(コマンド+オプション+シフト+Y)で、自動保存を5分位にしておきます。経験の豊富な方(クォークが、あるいはシステムが止まる可能性のある操作をする時、コマンドS(保存)する癖がついている人)は、このチェックははずしておいた方が、作業は快適です。
引用符の自動変換はチェックをはずしておいた方が、間違いは少なくなります。テキストの方で処理するようにしましょう。
●環境設定一般(コマンド+Y)では、グリークテキストのチェックははずします(チェックしたら小さい字が読めなくなるだけです)。マスターページアイテムは、変更箇所保持にしておいた方が、間違いが少なくてすみます。変更箇所消去にすると、取り返しのつかないことになりかねません。(後述)
●環境設定文字(コマンド+オプション+Y)では、自動カーニングのチェックをはずして、標準emスペースは必ずチェックしておきましょう。
●違った環境で作られたクォークの書類を開こうとすると、その書類の環境設定を使うか、自分のを使うか選択するダイヤログが出てきます。自分の環境設定を使って開くと、ブラ下がりや、ジャスティファイの設定が違うことがあるので、当然文字が溢れ出たり、配置が変わったりします。普通はドキュメント設定値を使うを選択して開きましょう。
●この環境設定のデータはQuarkXPressフォルダの "XPress Preferences" というファイルに保存されています。同じ仕事を何人かでする場合は、このファイルを入れ替えすれば同じ環境で作業が出来ます。
QuarkXPress でページ物を作る時の手順について考えてみましょう。
B5判・立て組・18字詰め26行・3段組・本文14Q・行送り22Q・段間2.5字 の社内報や記念誌のようなものを想定して考えてみましょう。
準備として、クォークの基本的操作や、文字入力について………
まず、文字原稿をデジタルデータ化しておきましょう。
いただいた原稿には色々なものがあります。書き原稿、ワープロなどで入力したものを印刷したもの、フロッピー……。
●書き原稿
手で書かれた原稿の場合は、これをデジタル化しなければなりません。QXで文字ボックスを作り、直接入力してもよいのですが、エディタで作業した方が速いし、半角を全角に変えたり、いろいろな処理がエディタの方が便利です。シンプルテキストはマックに最初からついているエディタですが、DTPで使うにはJ.edit(シェアウェア2,500円)などがいろんな機能がデフォルトで付いていて便利だと思います。
全角、半角、字下がり等なんにも考えないで、ただ、改行だけは入れて文字入力し、保存しておきましょう。後でまとめて、文章を立て組用に加工します。
J.Editの使い方はJ.editをご覧下さい。
●活字の原稿
ワープロで打った文などは、OCR(私はE.タイピストを使っています)ソフトでデジタル化しましょう。最近のこの手のソフトはすっかり実用的になって、文字入力の遅い私なんかは重宝しています。
OCRでデジタル化したデータは必ず印刷して校正しておきましょう。画面上で見つけられなかった間違いが結構あるものです。
●音声入力
また最近、音声入力で文字データを作成出来るソフトも、だんだん実用的になってきました。この手のソフトは、まず入力する人の声を"声の辞書"みたいなものに登録し、その辞書と、システムの日本語の辞書を参照しながら音声を文字データに変換していくので、パソコンの性能が大きく影響します。今では、CPUが高速になって、私みたいに文字入力の遅い人は音声入力といい勝負ができるような状況です。そのうち、原稿を読めば文字入力しなくてもOK、なんてことになる日も近いかも。この音声入力ソフト、マックで実用にしている人は知りませんが、WINでは文字入力にバリバリ使っている人はいるようです。
●フロッピー
文字原稿をフロッピーでいただくことは最近結構あります。
マックで作ったフロッピーは、それを作成したソフトがあればもちろん開けます。が、クォークで使えるのは文字の基本データだけです。使用するテキストを "テキスト形式" で保存しなおしておきましょう。
ワープロで作ったデータでも、"MSドスフォーマットのフロッピー" に "テキスト形式" で保存したデータなら読めます。
フロッピーの中身が読めた場合は、コピー&ペーストなどで、エディタの書類に変えておきましょう。
問題になるのはフロッピーが読めない場合です。
フロッピーをドライブに入れて、ウンともスンとも言わない(フロッピーの蓋が開く音がしない)時はドライブ自体が壊れていることも考えられます。何回か試してみましょう。それでもダメな場合はいったんマックを終了して、フロッピーをドライブにいれてから起動してみます。それでもダメなら別のドライブ(マック)に入れてみます。それでもマウントされない(画面にアイコンが出ない)時は、そのフロッピーのフォーマットが適当でないことが考えられます。相手にMSDOS(ドス)フォーマットのフロッピーにテキスト形式のデータで保存し直してもらうしか方法はありません。
マウントはされるが、それをつくったソフトがこちらになく、無理やりJ.エディタなんかで開くと中身がごちゃごちゃで読めない時は、データの形式がテキスト形式でないことが考えられます。テキスト形式で保存し直してもらいましょう。ワープロで作ったデータは、QXではまず読めません。
WINまたはワープロでクォーク用の文字データをいただく場合は、必ずMSドスフォーマットのフロッピーにテキスト形式(アスキー形式)で保存してもらうことが重要です。
QX以外のソフトで作ったものは、ほとんどテキストデータしか使えないということです。ということは、文字入力はエディタが一番高速で、使い勝手がいいと言うことになります。
作成したデータはフォルダを作って、保存しておきましょう。
さて、これからはクォーク上での作業です。想定した書類(本文14Q・18字詰め26行・行送り22Q・3段組・段間2.5字)を作っていきましょう。
●左右のあきが、奇数頁と偶数頁で違う見開きページの設定で考えてみましょう。
●上図マージンガイドの数値は、書類の設定(本文14Q・18字詰め26行・3段組・段間2.5字)を元にmm単位で計算して版面を出し、天地、内外の値を計算して決めたものです。
●テキストボックスの自動作成は、チェックをしておきます。チェックすると3段コラムのテキストボックスがマスターページにつくられます。また、このマスターを適用したページにテキストが追加され、ボックスからあふれる場合、自動的に新しいページが追加され(一般環境設定の自動ページ挿入で設定した場所に)テキストが流し込まれます。
ページ物の場合、まずマスターページを作ります。2つ作ってみましょう。
新規書類を開くと、レイアウトパレット上にA-マスターというページが作られていますが、これを選択(反転)して、左図赤丸の部分をクリックするとB-マスターというA-マスターのコピーが出来ます。
青丸をクリックすると、選択されているマスターが削除されます。一般環境設定のマスターページアイテムが変更箇所削除になっていると、そのマスターが適用されたページはなくなってしまいます。取り返しがつきません。(私はこれで真っ青になったことがあります。)慣れないうちは変更箇所保持にしておきましょう。または、いちど作ったマスターは削除しないようにしましょう。
●さて、A-マスターをWクリックして、編集しましょう。このままだと数値換算の内部処理のためだと思うのですが1行に14Qの文字が17個しか入りません。(文字ボックスの設定で、テキストとの間隔はもちろん0にしてあります) たしかめるには、このマスターは連結されているため文字を入力出来ないのでドキュメントページを表示して18個日本語を入力してみてください。17個しか入らないでしょう。ちゃんと割り切れる数字なのにへんです。これは、クォークが計算処理を行う時、単位をポイントに換算して実行することから起こる症状らしいのです。それでは文字の単位をポイントにしたらと思いますが、紙の大きさや線の長さはどうもポイントではしっくりいきません。
そこで、テキストボックスを選択し、下図のメジャーパレット赤丸の部分を次のようにタイプします。
W:141mm を W:22Q*25+14Q
H:206.5mm を H:14Q*18*3+14Q*5
結果、表示される数値は同じですが、ちゃんと14級の日本語が18字おさまります。
こんな面倒なことしなくても、ちょっと大きめのボックスを作れば問題ない???のですが(位置揃えの問題等でプロの仕事はできません)、仕事キッチリしたい人は、ボックスの寸法もキッチリする必要があります。
こうして作ったA-マスターは、段の1行目にルビが入る時行の位置が揃わないことや、2段通しの見出しが途中に入る時、各コラム別々に左右の寸法が変更出来ないので大変不便です。このマスターは使うのは、文章ばかりの同じページが沢山ある時などに限られます。社内報とか、記念誌とか、2段通しの見出しが使われる書類ではほとんど使うことがありません。
次の各段ごとに3つのボックスを作るマスターの方が便利です。
●次にBマスターをWクリックして編集しましょう。
まず、左図赤丸の下のツールを選んで、Bマスター(B-マスターは見開きですから左右両方のページについて)の左上のマークをクリックします。下の図のように連結マークが切れます。これでこのマスターを適用したページは勝手に新しいページを作らなくなります。
次に現在テキストボックスが1個で、3段のコラムに分かれていますが、これを3つのテキストボックスにします。各コラムごとに別のテキストボックスを作るのです。その方が色々な形のページに対処しやすくなります。まず、いまあるテキストボックスを選択してアイテムメニューの"設定..."(コマンドM)のダイヤログで上から4つめの高さの欄に"14Q*18"と入力。決して"252Q"と入力しないようにしましょう。"14*18Q"でもダメです。そしてそのボックスを選択してコマンド+オプション+D(連続複製)、出てくるダイヤログで、繰り返す回数=2、水平距離=0、垂直距離=14Q*20.5と入れ、OK。(その3つのボックスは連結しておきましょう。)テキストボックスを作る時、ガイドに沿ってドラッグしただけでは、14Qで17文字しか入りませんので、必ず、数値の入力で行います。
●マスターページはいつでも作ることが出来ます。同じスタイルのページが毎回使われる書類とか、必要に応じてマスターページを作っていきましょう。また削除することも出来ますが、一般環境設定の "マスターページアイテム" が "変更箇所削除" になっているときは注意しましょう。
●ノンブルが入る時は、自動ノンブルを使うことも出来ます。この自動ノンブルはマスターページにテキストボックスを作り、"コマンド+3" と入力すれば作ることが出来ます。ノンブルを開始したいページを表示して(画面の左下に表示されるページ)、ページメニューの "セクション" で数字の形と開始ナンバーを設定出来ます。
自動ノンブルはすこぶる便利なものですが、ページコピー(他のファイルのページをそっくりコピーすること)したり、ページの移動、挿入、削除をする時は注意が必要です。
クォーク3.3Jでは、書体(サイズ・シェード・縦横比率など)、段落設定(行送り・インデントなど)、段落罫線、タブ設定などを登録して、いつでもカーソルのある段落に適用することができます。
●編集メニューの"スタイルシート..."をクリックすると、次のようなダイヤログが表れます
現在選択されている "ノーマル" スタイルシート(青丸)の内容が赤丸で囲った部分に書かれています。
ノーマルスタイルシートは新規書類を開くと必ず作られるスタイルシートです。新しく作ったテキストボックスにはまず、このスタイルが適用されます。
●このノーマルも編集できます。選択して "編集" をクリックしてください。文字設定で本文の級数14級、その他を設定しておきましょう。段落設定では、行送り22Q、左右インデント、第1行インデント共に0にしておきます。
●次に"新規"をクリックして新しいスタイルシートを作ります。名前は"本文"としましょう。文字設定ではサイズは14級、比率100パーセント、書体はリュウミンR(例えば)、段落設定では第1行インデントを14級にしておきます。
●作業中、必要と思われた時点で、1字下がり、2字下がり、1行目が頭から2行目から1字下がり、2行取り、3行取りのタイトル、など必要なスタイルシートを作っていくと便利でしょう。
このようにして作ったスタイルシートは右図のスタイルシートパレットに即座に表れます。スタイルを適用したい(段落)にカーソルを置くか、その段落を(1字でもよい)選択するかして、パレットの項目をクリックすると、即座に反映されます。
あるスタイルを適用した段落に変更を加えると(部分的に書体を変更したり、大きさを変えたり、字下がりを変えたり)スタイルシートパレットの項目の後ろに+がつきます。元に戻すにはオプションキーを押しながらその項目をクリックすると元に戻ります。
バージョン3.3のクォークではこのスタイルシートは段落に対して適用されますが、バージョン4からは、各文字に対してのスタイルも作れるようになっています。便利にはなりましたが、覚えていなければならないことが増えて、繁雑になり過ぎともいえるかも?4.0を持っていない者のひがみか!
●カーソルのある、あるいは選択されている段落に、他の段落のスタイルを適用したい
この段落は、隣の段落と同じスタイルを適用したいという時、その隣の段落がスタイルシートを作っていないローカルな段落であった場合、オプションキーを押しながら、その隣の段落をクリックするだけで、OKです。この方法は連結されているテキストボックスならどこの段落のスタイルもとってくることが出来ます。超便利な使い方です。もちろんスタイルの適用された段落でも使えます。
●スタイルシートも、マスターページと同様にいつでも作ることが出来ます。必要になった時に順次作っていきましょう。
また、変更することもできます。変更すると、そのスタイルが適用されている段落は全て、新しいスタイルに変わってしまいますので、よくよく考えて実行する必要があります。削除することもできますが、削除するとそのスタイルが適用されていた段落にはノーマルスタイルが適用されます。削除も変更以上に注意して実行する必要があります。
14級、22歯送りの本文中に入る20級の2行取り見出し用スタイルを作ってみます。
お役に立つことが出来ましたでしょうか。 おわり